24歳、会社員のKさんの体験談。

「親元から離れ、初めてのひとり暮らし。開放的な気分になってたんです。とにかく過干渉な親で…。大学は家から五分のところを無理矢理選ばされ、門限は六時…。彼氏なんかつくれなかったし、友だちとどこかに出かけることもままならなかったですね。

就職先はわざと実家から遠いところを選びました。それでも、しばらくは、自宅から通っていたんですよ。二時間半もかかるのに…。残業のあった日は、終電が間に合わず、親が車で迎えに来てたんですけど、さすがに面倒だったんでしょうね。社員寮に入る条件で、ひとり暮らしにOKが出ました。

社員寮なんて言っても、要は借り上げのマンション。両隣だって、別に知り合いじゃない。気ままなひとり暮らしそのものです。家が厳しかったから、マンションではハメを外してやりたい放題!…と言っても、テレビ見ながら、缶ビールを飲むとか、そういった類です。実家ではそれくらいの自由さえ満喫できなかったんです。風呂上がり、タオルを巻いただけの姿で、ナイターを見ながらビールを飲み、枝豆をつまむ…。まるでオヤジ(笑)、でも最高なんですよね。

その日もそんな感じでした。私、洗濯物はいつも部屋に干していたんです。ちょっと厚めのロングカーディガンがいつも乾かなくて…。カーテンを閉めて、ベランダにつながる窓のカーテンレールのところにかけておいたんです。カーテンレールに洗濯物がかかっていると、カーテンの下が少しだけ開いちゃうのって、分かります?ちょうど下敷きくらいの大きさに三角形に開いちゃうんですよね。

テレビはその窓に面した壁に設置されていました。タオル一枚巻いただけの実にだらしない姿で、床の上のクッションに腰掛け足を投げ出してビール片手にテレビを見ながら、…なんかやけに視線を感じるなあ?誰かに見られてる気がする…、なんて思ってたんですよ。夜の10時頃だったと思います。そしたら、窓の下の方で、〝コツコツ〟って音がするんです。なんだろう?と窓の下に視線を向けたら…。

下敷きくらいの大きさにカーテンが開いた三角形の窓ガラスに、若い男の顔がぺったりと張り付いていたんですよ!

ここ三階なのに…!?ってパニックになりました!その位置から見られてたんだと思うと…!

とにかく、服を着て、警察に電話しましたよ。五分くらいで刑事らしき人が到着しました。ベランダに出て、その不審者のルートはすぐ分かったみたい。隣接した民家が二階建てだったんです。雨樋を伝ってその屋根伝いにウチのベランダに侵入してたみたい。なおかつ、刑事さんの言うことには、同じ足跡が隣の家の屋根伝いにいくつもついている。覗かれていたのはおそらく今回だけじゃないですよ、って話…。万が一、窓ガラスを割って部屋に侵入でもされていたら…、とゾッとしました」。

部屋の中だから、カーテンを閉めているから…、と無防備になってしまう気持ちは分かります。今までご実家で肩身の狭い思いをしていたならなおさらですよね!

でも、そういうあけっぴろげな雰囲気って、部屋の中だけじゃなく、外にいるときも、つい滲み出てしまうもの…。しかし、施錠してあってよかった!ではなくてよかった!部屋の中ではだらけていても、セキュリティ面に気をつけていたのは、厳しい両親の躾の賜かも知れませんよ?

不審者を防ぐためには、マンション内の交友関係をしっかり持っておくとよいですね。部屋に男性の出入りがあることを見せつけておくのもポイント。信用できるボーイフレンドがまだいないようでしたら、週末にでも、お父さまに遊びに来ていただいては?