この春、高校を卒業し、アニメ系の専門学校に通っているというF実さん、19歳の体験談。

「その日は学校が休みだったので、友人たちと品川で待ち合わせ、電車で横浜へ。専門学校の先輩から連絡が入って渋谷で合流することになりました。

ファッションビルを見て、スクランブル交差点のそばでお茶して、カラオケ屋行って、…これから、飲みに行くか、って話になったんだけど、お金がなかったから私は断って、帰ることにしたんです。

それでひとり電車に乗って、自宅の最寄り駅で降りて、そこからは徒歩で20分くらい。バスに乗ってもいいくらいの距離なんですけどね。バスの本数が少ないから歩いちゃった方が早いか、って。六時台でまだ明るかったし。

裏道もあるんだけれど、車通りの多いバス通りを歩きました。マンションに隣接した公園とかあるから、昼間は子どもたちで賑わっているんですけど、夕暮れどきは人気のない、ただの住宅街なので、自転車の通るけど、歩きのときはバス通りにしてたんです。

バス通りも車は通るけど、人はあまり通らなくて…。あの渋谷の喧噪がウソみたい!同じ区内なのに…。

そしたら、なんか、うしろから誰かついて来てるような気配がするんですよ…。私は、そんなに歩くの早いほうじゃないから、たいていの場合、あとから来た人に抜かされるんですよね。でも、歩幅が一緒なのか?なんでか、ずっと同じ速度で。試しにゆっくり歩いてみたんですよ。あと、ちょっと蛇行とかしてみたんです。それでも後ろからついてくる…。

怖い!逃げよう!家まであと少しだし…!そう思って、走ろうとした刹那、背後にいた人が「待って!」と突然、進行方向に回り込んで行き手を阻みました。大学生風の若い男でした。とくに変質者っぽい感じはなかったです。

「なにか用ですか」と尋ねると、「今日ずっとキミのこと見てたんだよ…」と囁くんです。「朝、友だちと品川で待ち合わせしてたでしょ?そのあと横浜に行って、渋谷に行って…」

この人、ずっとつけてたんだ…!気分が悪くなりました。

「可愛い服だよね。そういうの、どこで売ってるの?」
「あの、警察がすぐそこにありますので、行った方がいいですよ。ちゃんと自首した方が…」
「あやしいもんじゃないんだ!キミ、すごくタイプでさ、つきあって欲しいと思って…!あ〜」

猛ダッシュで逃げました。靴は脱ぎました。ヒールが高かったので。履いてたストッキングが破れるのが分かって、「あ〜、もう!このタイツ、お気に入りだったのに!高かったのに!あの気色悪い男のせいで…」と腹立たしかったです」。

一日中、つけられていたとは…!気味の悪い思いをしましたね。そのあとは追いかけては来なかったのかしら…。アニメ系の専門学校に通っているとのこと。きっと、個性的でかわいらしい方なのでしょう。

友人たちとの語らいも、そのあと先輩たちとの合流も、とても楽しい時間だったに違いありません。周囲に目を向けることもできないくらい、仲間との時間に夢中になっていたのでしょう。でも、ときどき、自分の時間に戻り、周囲を見回すようにするとよいですよ。仲間といるとき、おかしな視線を向けているような人に気づけば、そのあとの対処もしやすいでしょう。気の合う仲間同士でいると、つい、人目を気にしなくなり、声が大きくなったり、周囲の迷惑になってしまう場合があります。そんなときも、この「ちょっと我に返って周囲を見回す」行為は有効です。実行してみて下さいね。