23歳、接客業の女性の恐怖体験談。

「その男性とは、いま私が働いているお店で会ったんです。

お店というのは、夜の、お酒を出すお店…、でも、カウンターの中から接客するだけなので、キャバクラみたいな、男性客の隣に座って、とか、そういうタイプのお店ではないです。お客さんは9対1で男の人が圧倒的に多いですけど…。

夜のお店で働く前は派遣社員として化粧品会社で働いていました。でも…、あまりにも給料が低くて、そのわりには仕事量が多くて、残業代もつかないし、…正規社員さんは、早く帰れて、給与も派遣よりぜんぜん高くて、なんかバカらしくなっちゃったんですよね。夜のお店の方が給料も高いし、手っ取り早く稼げるわ、って。もともと飲むのが好きで、仕事のあと飲みにいくこと多かったんです。なので、お酒飲みながら、お給料もらえるならありがたいな、って感じ。

その男性は、ほぼ毎日飲みに来ていましたね。店長は、私が目当てなんだ、って言っていました。50絡み、インテリっぽくて、どんなにお酒飲んでもぜんぜん崩れなくて、コトバ遣いも丁寧だし、こういう人に気に入られるなら嬉しい、と思いました。金払いもよかったし。他のスタッフに内緒でチップもらったりもしました。こんなお金持ちなら、愛人になってもいいわ…、とよからぬことも考えてしまったくらいです。

あるとき、〝実は…〟とその男性に切り出され、〝今、しつこい女性につきまとわれてるんだ。僕には妻がいる、と言っても信じない。少しの間、妻のフリをしてくれないか。謝礼は出すから〟と言われました。前払いで気前よく万札をくれ、興味もあったので、応じることにしました。

お店が終了したあと、最寄り駅で待ち合わせし、駅に向かいました。男性はときどき、スマホを覗き込み、〝…しょうがないなあ」などと独り言を言っています。どうしたのか尋ねたら、そのストーカー女性がこちらの様子をどこからか見てて、妻らしくない、とクレームをつけてきているのだとか。〝寄り添ってもらえませんか〟と言うのでその通りにしました。そのあとも、たびたび、スマホを見ながら、〝手を握って〟とか、〝肩に頭をもたせかけて〟とか、〝ハンカチで汗を拭って〟など言ってきます。

そのうちに…、だんだん行為がエスカレートしてきて、そのとき、私はハッと、これ私は「フリ」つまり「プレイ」みたいなつもりで応じていたけど、そうじゃない…。この人、ただのアブナイ人だ…!

電車を降りて、薄暗がりに連れ込まれ、襲われそうになってようやく気づきました。無我夢中でその男の手を振り払い、タクシーを拾って自宅住所を告げました。一万円以上の運賃を支払ったので、相当遠くまで行っていたんだと気づきました…」。

ホント、危なかったですね。何事もなくてよかった。そんな怖いお客が来るような、お店はやめてしまった方がいいわ。ひとり暮らしだったら引っ越した方がいいわ。本名を教えていなくて、源氏名で通してたなら少しは安心なんだけど…。

お金目当てとか、興味本位で、フラフラ男の人についていっちゃダメ。お金で女性をどうにかしよう、なんて思う男性は、女なんかお金でどうこうできるものだとしか思っていないようなヤツなんだと、しっかり理解しておくべきね!